ジャズ ガ キコエル オーディオ ヤサン (1)
大須にむかぁ〜しからある中古のオーディオ屋さん。いつもいい感じのJAZZのレコードの音が中から聴こえて来て休みの日の昼下がりの一種の名所になっているところ。そこに久しぶりに入ってみた。
ここにあるのは一目で年代モノだと分る大きなスピーカーや真空管のパワーアンプが目立つ。誇りっぽく薄暗い店内がまたいっそう雰囲気を出している。
「いらっしゃいませ!何かお探しでしたか?」
・・・と懇切丁寧に学生のバイト君らしき子が声をかけてきた・・・
懐かしいなぁ、このノリ。僕もこの街で中古の販売をしていたことがあったっけ。微笑ましい彼を「みてるだけでぇ〜す♪」とかるくかわしてぐるーっと店内を回る。そして気が付くと目の前に油の乗ったにこやかなおじさんが立っていた。さっきのバイト君とは明らかに違う雰囲気。
(ひょっとして社員サンかな?)と思いいろいろ教えて頂くことに。目の前にあった真空管のアンプのことについて聞いてみた。以前からマニアの人は真空管のアンプを好むってことは知っていた。でもそれがなぜか知らなかったのだ。それを知ったかぶりせずに聞いてみた。
「真空管のアンプってなにがいいんですか?」
「トランジスタと違って抵抗を通ってない音なんですよ♪」
僕はこういっているアナログ好きな人の言葉を思い出した。「デジタルのCDは音をつぶつぶに電気的に置き換えてたり、人間の聞こえない音を省いてしまう。それに比べてアナログのレコードはそのままの音。そして耳に聞こえなくても体で聞こえる音があるからアナログのレコードが好きだ。」
この真空管のアンプはあのアナログレコードが好きな人のためにあると言ってもいいかもしれない。より本物に近い音、録音された音をダイレクトに聴きたい人のためにあると。
目の前で真空管のアンプについて熱のこもった説明をしてくれる店員さんはもはや先生だった。
こんなに真空管のアンプがいいのであればと勢いに任せてばかげたお願いをしてみたくなった。「今度うちにあるスピーカーを持ってきてこのアンプにつないでもいいですか?」二つ返事で「もちろん、持ってきてくださいよ♪」との答え。
僕はこの「いい」大須の雰囲気を思い出したのだった。